王女サロメは生きる事に嫌気がさしていたー。
ある晩、国王であり義理の父から
向けられる悍ましい視線から
逃れるようにテラスへ出たサロメは、
煌々と照らされた月空の下で
世にも美しい唱声を聴く。
地下牢に幽閉されていた声の主・ヨカナーンは、
唱う言葉が次々と現実のものとなる
不思議な力を持っていた。
妖艶な魅力に取り憑かれるように
惹かれていくサロメは、
いつしかヨカナーンの存在に
生きる意味を見出していく。
しかし、王はそんな二人の関係を赦しはしない。
「あなたと二人、誰もいない遠い所へ行くの!
見渡す限り地平線の彼方へ!」
そんな淡く儚い想いを抱くサロメに、
ヨカナーンは悲壮な瞳で不思議な力の源と、
世界の根幹を揺るがす重大な秘密を打ち明ける。
絶望と希望が交錯する中、
二人は"ある約束"を胸に地下牢を抜け出すが…